ジャムとコーヒー、プリンセス。

 午前6時57分。
 少しずつ差し込んでくる太陽の光で目が覚めた。3分後鳴るはずだったアラームを止めて、大きく伸びをする。
 隣に目をやると、みのりが小さな寝息をたてて眠っている。昨日は遅くまでレポートを書いてたみたい。今日は午前休って言ってたはずだから、このまま寝かせておいてあげよう。
 みのりを起こさないよう静かにベットを降りて、そっと部屋を出た。

 キッチンに着いて冷蔵庫の中身を確認。杏からもらったりんごジャムがまだ少し残ってる。せっかくだし今日で使い切っちゃおう。
 そうなるとまあ、あとは無難にベーコンエッグかな。そんなことを考えながら電気ケトルでお湯を沸かす。

「おはよ〜……」
「あ、おはようみのり。ごめんね、起こしちゃった?」
「ううん、だいじょうぶ……」

 あまりにも眠そうな顔でみのりがリビングに顔を出す。
 ぼさぼさ頭に、今にもまた閉じちゃいそうな目。そのままちょこんとソファに座り、あさっての方向を眺めながらぼーっとしている。
 ……みのりは、朝が弱い。それでも最初は「遥ちゃんに恥ずかしいところを見せるわけには!!」って頑張ってたみたいだけど……最近は慣れてきたのか、私にもこういった無防備な姿を見せてくれるようになった。
 正直このねぼすけさんなみのりはとっても可愛くて……油断してると、みのりが覚醒するまでずっと見ていてしまいそうになる。実際今も危なかった。まずは朝ごはんを作らないとね。

 フライパンに油を敷いてベーコン。その間に食パンをトースターに。
 卵は……最近は半熟じゃないと駄目になってしまった。

「みのり、目玉焼き何かける?」
「……おしょうゆ……」

 今日はお醤油の気分みたい。じゃあ私もそれにしよう。
 お湯が沸いたけど……みのりはこの後また寝るだろうし、コーヒーは私の分だけでいいや。

「遥ちゃん……なにか手伝うことあるー……?」

 今日飲むコーヒーを選んでるとねぼすけプリンセスがふらふらとこちらに寄ってくる。少し目が覚めてきたらしい。

「ううん、今は大丈夫。とりあえず顔洗っておいで」
「はーい……」

 そのまま洗面所に吸い込まれていくプリンセス。
 ……お姫様のためにも、早いこと残りの作業も終わらせてしまおう。
 ベーコンエッグとトーストをそれぞれに皿に盛って、コーヒー、牛乳と一緒にテーブルに運ぶ。
 あ、ジャムとお醤油忘れてた。持ってこないと。

「みのり、朝ご飯できたよ」
「はーい! ごめんね遥ちゃん、準備全部やってもらって……!」
「気にしないで、昨日遅かったんでしょ? 今度また一緒に作ろう」

 みのりも完全に目が覚めたみたい。
 さて、今日もしたい話はたくさんあるけど……まずはちゃんと、この1日を始めよう。

「それじゃあ」

「「いただきます」」

- Afterword -
2021/04/12 「みのはる100ラリー」3本目

食卓を囲う光景、とても大好きです。
なので油断するとすぐに朝ごはんか夜ごはんを皆で食べさせちゃうし、
すぐにお味噌汁を作らせちゃうし、
すぐにいただきますって言わせちゃいます。
だって好きなんだもの。

現実だとどうしても朝はばたついたり抜いたりしがちなので、
こういう落ち着いて食卓を囲んで……というのはなかなか難しいかもしれませんが。
現実でも創作でも、こういう穏やかな時間は意識して大切にしていきたいですね。