カクテルナイトのその後に
「みのり、今日泊めてもらってもいい?」
「うん、大丈夫だよ」
「そっか。……ふふっ。ありがとう、みのり」
「……遥ちゃん、ちょっと飲み過ぎじゃない?」
「ふふふ、そうかも。ペース落とさないとね」
今日はわたしの家で夜ご飯。
無事に二十歳になったわたしたちは、時々こうしてお酒も飲みながら、2人で穏やかな夜を過ごしています。
「ねぇみのり、一緒のベッドで寝てもいい?」
「え〜? シングルベッドだし、多分狭いよ?」
「大丈夫。みのり、お願い」
「まぁ……遥ちゃんがいいならわたしはいいけど……」
お酒が入った遥ちゃんはいつもよりちょっとだけ甘えんぼで……いつもの頼れるかっこいい遥ちゃんもいいけど、こんな遥ちゃんも、わたしはまあなんだかんだ大好きなのです。
……ちょっとだけ、変な人に目をつけられないか心配になっちゃうけど……。
「はい、お水。今のペースだとふらふらになっちゃうよ?」
「ありがとう、みのり」
にへら、と笑う遥ちゃんに、ちょっとだけキュンとする。
……その笑顔は、ちょっとずるい。
「お水、おいしい」
「よかった」
「みのりといるからかな」
「……遥ちゃんのそういうところ、わたしちょっと良くないと思います……」
「みのり、何か言った?」
「なんでもないよ!」
ふわふわモードの遥ちゃんは、かわいいけどちょっとだけやりにくい。
いつもより早いペースで爆弾が飛んでくるというか、そういう「一緒にいれて幸せ!」って感じのセリフは元々はわたしが言うことっていうか……! とにかくなんだか調子が狂うっていうか、いつもと立場が逆転しちゃうから、ちょっとだけ頭が痛くなっちゃうのです。
……そんな遥ちゃんも、大好きだけど。
「みのり〜」
「もう、どうしたの遥ちゃん? そろそろ食器片付けるよー?」
「みのり、大好きだよ」
……この人は、本当に……!
「の、飲み過ぎだよ遥ちゃん!ほら、もう寝よ!!」
「えぇ、でもまだ11時……」
「いいから! 明日も早いんでしょ!? ほらお布団入るよ! おやすみ!!」
「……うん。おやすみ、みのり」
また、目を細めて笑う遥ちゃん。
……ああ、かわいい。ふにゃふにゃの遥ちゃんはちょっとだけ苦手だけど……かわいいし、ちょっとだけ、許してあげようかな。
……それに、ね。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
次の朝。
「み、みのり……その……」
顔を真っ赤にした遥ちゃんが、ベッドの上でちょこんと座っている。
「どうしたの? 遥ちゃん」
「いや、その……昨日のことなんだけど……」
「昨日のこと? ちょっとわかんないや……」
「そ、そっか」
「あ、遥ちゃん、ベッド狭くなかった? 大丈夫?」
「み、みのり……!!」
……遥ちゃんは、絶対に潰れるほどのお酒は飲まない。
最後の一線はちゃんと守ってて、「これ以上は本当にダメ」って思ったら、わたしと2人きりでも絶対に飲まない。
だから、悲しいことに。
遥ちゃんは、昨日のことを全部覚えてる。
「お水おいしいね、遥ちゃん」
「みのり……」
「遥ちゃんといるからおいしいのかなぁ」
「みのり!!」
りんごみたいな真っ赤な顔で、涙目になりながらわたしのことをポカポカ叩いてくる遥ちゃん。
……甘えんぼの遥ちゃんも大好きだけど、わたしは、次の日のこうしてうろたえる遥ちゃんも、かわいくて大好きなんだ。
「遥ちゃん」
「な、何……?」
「大好きだよ」
「——〜〜!!」
……だから昨日のことは、全部水に流してあげる。
また一緒に飲もうね、遥ちゃん。
2021/04/21 「みのはる100ラリー」25本目
また同棲させてる…………(困惑)
「お酒が入るとどうなるか」というのは結構定番のテーマだと思います。
しっかり者の子が相変わらずしっかりしているのも一貫性があっていいし、
お酒が入るとだめになってしまうのもそれはそれで乙なものです。
遥ちゃんに関しては、どっちのタイプも書いたことがある気がします。
二次創作なんて自由なんですから、気になれば全部書いちゃっていいのです。