とっておきを君に

 今日は、遥ちゃんと初めてのデート。

 付き合い始めて、はじめてのお出かけ。はじめてだから絶対に失敗できない。恋人として初めて遥ちゃんの目に映るわたしは、今までで一番すてきなわたしでいたい。

「うぅ……肩がスース―する……」

 愛莉ちゃんと雫ちゃんにも手伝ってもらって選んだ、今日のための服。雫ちゃんがいつも着ているみたいな少し大人っぽい服。いつもだったら恥ずかしくて絶対に着れないけど……でも今日は、遥ちゃんの横を胸を張って歩きたいから。

 姿見の前で、ちょこんとスカートの裾をつまむ。……似合ってる、よね? 今頃不安になってもしょうがないんだけど、もし傍から見て変な恰好になってたら、逆に遥ちゃんに迷惑をかけちゃうって思うと、すごく怖い。
 ……ううん、怖がるな、わたし。愛莉ちゃんも雫ちゃんも、写真を見たこはねちゃんだって「似合ってる」って言ってくれた。だから、きっと大丈夫……!

 寝癖はついてない。メイクも完璧。マニキュアも塗ったし……あとは背筋を伸ばせば、今のわたしは世界で一番きれいな、はず。
 大丈夫。大丈夫。わたしは今日、人生で一番のわたしで、遥ちゃんに会いに行くんだ。
 不幸で折れないようにローヒールにしたパンプスを履いて。大きく、一度深呼吸をして。

「いってきます」

 わたしは、玄関の扉を開けた。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 今日は、みのりと初めてのデート。

 付き合い始めて、初めてのお出かけ。初めてだから絶対に失敗できない。恋人として初めてみのりの目に映る私は、一生みのりの記憶に残るような私でいたい。

「お、落ち着かない……」

 杏にも手伝ってもらって選んだ、今日のための服。……胸元のリボンといい、フリルのスカートといい……杏の口車に乗せられて買ったけど、ちょっと女の子っぽすぎないかな……? ううん、でもみのりは今日もきっと可愛いから、今日はそれに負けないくらい、可愛い私でみのりに会いたい。

 姿見の前で、ちょこんとスカートの裾をつまむ。……似合ってる、よね? 今更不安になっても仕方がないんだけど、もしあんまり私に合ってなかったら、逆にみのりをがっかりさせちゃうって思うと、すごく怖い。
 ……いや、きっと大丈夫。杏だってちゃんと「似合ってる」って言ってくれた。こういう大事なときに杏は絶対嘘をつかないから……だから、きっと大丈夫。

 寝癖はついてない。メイクもオッケー。ネイルだって完璧。あとは……背筋を伸ばせば、今の私は世界で一番可愛い、はず。
 そう、きっと大丈夫。私は今日、人生で一番の私で、みのりに会いに行くんだ。
 靴擦れでみのりに迷惑をかけないように、靴だけは履き慣れた、でもちゃんと服に合うものを履いて。

「行ってきます」

 私は、玄関の扉を開けた。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「…………」
「…………」
「は、遥ちゃん、それは……」
「み、みのりこそ、その恰好は…………」
「えっ、やっ、やっぱり変かな!? 愛莉ちゃんと雫ちゃんは似合ってるって言ってくれたんだけど……!!」
「あっ、そうじゃなくて……!! ……その……あまりにも綺麗で、見惚れちゃって……」
「…………」
「…………」
「…………遥ちゃんも」
「え?」
「遥ちゃんも……とってもかわいくて、キレイ……です…………」
「…………」
「…………」
「……えっと、とりあえず、お昼ごはん食べに行こっか……」
「は、はいっ……!」

- Afterword -
2021/05/27 「みのはる100ラリー」69本目

何本デートの話を書けば気が済むんだ。しかも待ち合わせの話もいくつか見たぞ。
数要る企画とはいえ趣味に走りすぎじゃないか??

なんて言ってみましたが、お互いの視点での同じ葛藤の繰り返しなど、
こまごました部分は結構気に入ってる作品でもあります。
勿論文字数的にまだまだ膨らませられたはずですし、
最後の力尽きた感なんかもとんでもないものがあるのですが……。
こういう繰り返しの描写なんかは、後々の作品にも活きてきているものになっていますね。