xxになんて絶対負けない!

(これ、これは——!)

 遥ちゃんとの帰り道。不意に見つけたお店のメニューに釘付けになる。

『期間限定! サーモンクリームうどん!!』

(さ、サーモンのおうどん……!!)

 最近は遥ちゃんにも教えてもらいながら食事制限をしてるのもあって、なかなかサーモンは食べれてない。そんなサーモンの、おうどん! そんなの、そんなの絶対おいしい!! それに期間限定だから、早く食べないとなくなっちゃうかも!!

 ……はっ! だめ! せっかく食事制限もがんばってるのに、何も考えずにうどんなんて食べたら意味がなくなっちゃう……!!
 我慢、ここは我慢しなきゃ……遥ちゃんだってきっとこんな誘惑に何回も打ち勝ってきたからすごいアイドルになれたはず。わたしも頑張らないと!

「えっと、待たせちゃってごめんね遥ちゃん! もう大丈夫だから帰ろ——」


「ペンギン……ぺんぎん…………!」

 潤んだ目で遥ちゃんが見つめるのは、サーモンクリームうどんの2つ隣のメニュー。『魅惑のペンギンアイス』って書かれたそれは、ブルーベリーソースがかかったソフトクリームに、ちっちゃなペンギンのフィギュアが2つちょこんと乗っていて……とっても、かわいい。
 ……でもでもソフトクリームって普通にアウトだよね? シュークリームがよくないんだからだめだよね!?

「は、遥ちゃん!」
「はっ……! ごめん、みのり。すっかりペンギンの虜になってたみたい……」
「だめだよ遥ちゃん! 確かにわたしもサーモンクリームうどんがとってもおいしそうだなぁって思ったけど……思ったけど! ここは我慢しないと!」
「そうだね。いくらペンギンが可愛いからって、無計画にアイスを食べちゃうのは……」
「そ、そうだよ……か、帰らないと……」
「うん。早く帰ろう。早く、その、ペンギンを……見捨てて……」
「……」
「……」


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「お待たせいたしました! 『サーモンクリームうどん』と『魅惑のペンギンアイス』です!」
「……」
「……」

 ……まけました。

 サーモンとペンギンにまけました。サーモンだけだったら遥ちゃんが止めてくれたのに、ペンギンだけだったらちゃんと遥ちゃんを止められたのに……。「2人ともしあわせなら負けちゃってもいいんじゃないかな……?」って思っちゃって、あっさり心が折れちゃいました……。

「うう……ごめんね遥ちゃん……」
「気にしないで……止めなきゃいけなかったのは私も一緒だし……」

 ……まあでも、頼んじゃったものはもう仕方ないよね……。諦めて手を合わせて、一口。

「おいしい……!!」

 久しぶりのサーモン、久しぶりの好きなもの。おいしい。おいしい。とっても幸せ……!
 向かいの席に目を向けると、ふにゃふにゃな顔で山登りするペンギンを撮る遥ちゃんの姿。

「……遥ちゃん、明日からまた一緒にがんばろうね」
「……そうだね。今日だけは、ちょっとだけ自分に負けちゃおうか」

- Afterword -
2021/06/02 「みのはる100ラリー」73本目

このタイトルでこの内容、軽く詐欺では?
実際当時もまあまあ逃げの選択をした気がします。

別に企画ルールでR-18を禁止されているわけでもないので別にいいっちゃいいのですが、
どうにもR-18は苦手なのと、あとシンプルにあまりいい思い出がないので避けがちです。
そもそもこのサイト、全年齢コンテンツ用のサーバーなのでR-18は掲載できないのですよね。
載せるにはアダルト専用サーバーを借りる必要があり面倒ですし、多分今後もほぼ書かないと思います。