身体に君を纏わせて
『遥ちゃんの服、大人っぽくてかっこいいなぁ……』
『そうかな? みのりがこの前着てた服も大人っぽくて素敵だったと思うけど……』
『ううん、遥ちゃんには敵わないよ!! やっぱり遥ちゃんが落ち着いてて大人っぽいから似合うのかな?』
『……じゃあ、着てみる?』
『えっ?』
『ちょうど今度私の家で小道具作りしようって話だったし、その時貸してあげるよ。みのりも素材はいいし、きっと似合うと思う』
『そざっ……そ、そんな!! そんなことないと思うのですが!!』
『ううん、似合う。絶対似合う。似合わせる』
『似合わせる!?』
『よし、決まり。土曜日が楽しみだね』
『え、えっとえっと……じゃっ、じゃあわたしも、遥ちゃんに似合いそうな服持ってくるね!!』
『……え? わ、私も着るの?』
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「に、似合うかな……?」
「うん、すごく似合ってる」
大きな姿見に私とみのりの姿が映る。
みのりが着ているのは、皆でペンギンカフェに行った時の服。本人は慣れないコーデで落ち着かないみたいだけど、綺麗な長い髪によく合っていてとても似合ってると思う。
「やっぱりみのりはシンプルな服も似合うね。ワンピースとかも似合うんじゃないかな」
「あ、あんまり褒めないで遥ちゃん……恥ずかしいからぁ……!!」
真っ赤になった顔を隠しながら両手をぱたぱた振って訴えかけてくるみのり。もっと堂々としてればもっともっと似合うのに……でも、そういうところもみのりらしいな。
「それにしても……」
着慣れない服を着てるのはみのりだけじゃない。
みのりが私のために持ってきてくれたのは、ピンク系で揃えた春らしいコーデだった。少し意外だったのはベージュのジャケット。これのおかげで全体の雰囲気が引き締まってて……普段は可愛くまとめてくることの多いみのりだったから、少しだけ意外だった。
「みのり、こういう服も持ってるんだね」
「う、うん! せっかく春だからいつもと違うコーデにも挑戦しようと思って、思い切って買ってみたんだ!」
春服だからそろそろ着れなくなっちゃうけど……。
私の方を振り向いてみのりが笑う。ふわりと揺れる白いフリルと、微笑むみのりのコントラストが眩しくて……自分の服のはずなのに、少しだけ胸がどきりとした。
「遥ちゃんがわたしの服を着てるの、なんだかちょっと変な感じ」
「私も。いつも着てる服のはずなのに、みのりが着ると全然雰囲気が違うね」
「えへへ……遥ちゃんがそう言ってくれるなら、こういう服にも挑戦してみようかな……」
「うん、いいと思う。そういうことならよく行くお店を……」
……いや、待って。
せっかくなら。
「みのり。せっかくだから、今からこのまま服見に行ってみない?」
「えっ!? このままって……この服のまま!?」
「うん。おすすめのお店を教えてあげるから、みのりに合う服を探しに行こう。……それに、私もみのりにいろいろ選んでほしいな」
「……いいの?」
「もちろん」
刹那、咲いた笑顔が、あまりにも可愛かったから。
だから私の手でこの子を、もっともっと可愛くしてあげたい。
「それじゃあ行こうか、みのり」
「ま、待って! まだ心の準備が――!!」
慌てるみのりの手を引いて、私たちは部屋の扉を開けた。
2021/06/07 「みのはる100ラリー」79本目
お題は「私服交換」でした。オタクなら誰もが思いつくネタですね。
むしろお題で貰うまで書いたことなかったのか……って感じがします。
逆に服買いに行く話はよく書くのですよね……ファッションなんも分からんくせに……。
女子高生の休日の過ごし方に関するストックが足りないのかもしれません。
もっと少女漫画とか読んで勉強しないと。