"未定義のエラー"

「みのり、最近髪伸びてきた?」
 練習中に揺れる後ろ髪が気になって、思わずみのりに声をかけた。

「遥ちゃんもそう思う? やっぱりそろそろ切った方がいいかなぁ……?」
「そろそろ風紀点検もあるだろうし、前髪くらいは切ったほうがいいかも。それに、結構練習してても邪魔じゃない?」
「うん、確かに……。いっそ遥ちゃんみたいに短くしちゃおうかな?」

 ショートヘアのみのり、か……。

「私は長い方が好きかなぁ……」
「へ?」

 えっ……?

「ご、ごめんみのり。今変なこと言ったよね私」
「ううん、大丈夫! でも、遥ちゃんがそう言ってくれるならこのままにしようかな」

 そう言ってみのりがいつも通り笑う。
 いつも通り、笑ってるはず。
 いつも通りのはずなのに……真っ直ぐ見れないのはなんでだろう……?

「遥ちゃん……?」
「な、なんでもない! それよりみのり、その髪の長さじゃ練習の邪魔じゃない? 髪まとめてあげるよ」
「本当!? ありがとう遥ちゃん! それじゃあ、よろしくお願いします!」


 気持ちを落ち着けて、みのりの髪に触れる。
 ……初めて触るけど、みのりの髪はとてもサラサラしている。微かに香る柑橘系の匂い。シャンプーは何を使ってるんだろう。
 前に切ってたときからはまたかなり伸びてるけど、きちんと手入れしてるのか痛みとかもない。日に照らされてきらめく茶色がかった髪はとても綺麗で——

「遥ちゃん?」
「えっ、あっ、ごめんぼーっとしてた! すぐにやるね!」
「遥ちゃん、本当に大丈夫……? なんだか顔も赤い気がするし、ちょっと休んだ方が……」
「大丈夫! 大丈夫だから気にしないで!!」

 必死に煩悩を振り払ってみのりの髪をまとめていく。
 シンプルに頭でお団子にしてあげて……。

 ……みのりの、うなじ。
 考えてみれば普段は髪に隠れてて、あまり意識したことなかったな。
 その白い首筋が、妙に、気になって、

 かぷり。

「ひゃうん!? は、はは、遥ちゃん!?」
「えっ!? あ、ごご、ごめんみのり!! 大丈夫!?」
「わ、わたしは大丈夫だけど! 遥ちゃん本当に大丈夫? 熱とか……わわっ、おでこすっごく熱いよ!? 一緒に保健室行こう!?」
「だ、大丈夫! 本当に大丈夫だから……!!」


 慌てるみのりの首元に、ほんのりとピンクがかった噛み跡。
 それから目が離せなくって、頭がクラクラしてくる。


 私、どうしちゃったんだろう……。

- Afterword -
2021/01/09 「prsk2H創作デスマッチ#03」参加作品

2Hデスマッチへの投稿作品です。
この企画は僅か2時間の制限時間の中命を削って作品を作る企画となっております。
やめろそんな危ないこと。
ちなみに#03の作品は2作存在していますが、これは第3回のデスマッチが2部構成であったためです。
1時間は期間が重複しているため、1作あたり1時間半で執筆している形になります。馬鹿だろ。

作品に関わっていた時間が1時間半なのでかなり記憶が曖昧になっていたのですが、
読み返してみると、まあ、1時間半って感じの内容ですね。
今時間無制限の上同じ題材で書いたら多分3倍くらいの分量になるんじゃないかと思います。