エンドロールを壊せ

 物語には、終わりがある。

 例えばそれは、夢が叶った瞬間だったり。
 例えばそれは、誰かと別れた一日だったり。

 例えばそれは、ステージに立てなくなったあの時、だったり。


 あの数分間から私の物語は動かなくなった。
 ゆっくりと世界から色がなくなっていって、「ああ、私の物語は悲劇で幕を下ろすんだろうな」なんて思っているうちに、私は 主人公 アイドル ではなくなった。

 色とりどりの舞台を降りて、スポットライトも当たらないモノクロの世界。

 そんな、エンドロールの終わり際。

 あなたが突然現れた。


 物語はもう一度回り出した!
 ちょっとだけ狭い屋上で!ステージの並ぶ不思議なセカイで!群雄割拠の動画の海で!喧騒溢れる教室で!

 希望に満ちた、貴女 ヒロイン の隣で!!


 悲劇の結末を乗り越えて、もう一度夢見たストーリーを!

 ——なんて、ちょっとはしゃぎすぎかな。


「遥ちゃん? どうしたの?」
「あっ、ごめん。……ちょっと、考え事してて」
「めずらしいわね。遥が練習中にぼーっとしてるなんて」
「遥ちゃん、大丈夫? 私たちでよければ相談に乗るけど……」
「ううん、気にしないで。考え事っていっても大したことじゃないの。……私たちの活動が終わる時って、どんな感じになってるんだろうって」
「……また気分が沈むこと考えてるわね……」
「ごめん、皆の気分を悪くしたかったわけじゃないんだけど……」

「うーん、でも想像つかないなぁ。やっぱり解散とかになっちゃうのかな……!?」
「そういえば卒業した後のこととかも考えないといけないわね。ちゃんと集まれるかしら……?」
「あーもう! アンタたちまで暗いこと言わないの! 大体まだ動き出したばっかりなんだから、先のことなんて考えたってしょうがないでしょ! ……ほら遥!アンタが最初にこの話始めたんだからなんとかしなさい!」
「えぇ……? ……えっと、まあでも——」


 でも、案外心配ないって思うんだ。
 皆となら、貴女となら、きっとどんな悲劇だって、喜劇に変えられる。

「ね、みのり」
「ふぇ?」


 今度こそ、ハッピーエンドを届けられるように。
 私は、もう一度 主人公 アイドル になっていく。

- Afterword -
2021/01/09 「prsk2H創作デスマッチ#03」参加作品

2Hデスマッチへの投稿作品です。
この企画は2時間で泣きながら作品を書き上げて投稿する企画になっています。
やめたほうがいいよそういうの。

文字数こそ短いですが、だからこそのテンポの良さもありまあまあ気に入っている作品です。
この時期は漫画などで映えそうな大胆な表現や場面転換を多用していた記憶があるのですが、
こういうのは今となってはなかなか書けないなぁと感じます。